自動車の激増によるマンホール蓋のがたつき

国内の自動車は、この30~40年間で2倍のペースで激増しています。それに伴い、マンホール蓋上の車両通行によるがたつきや破損のリスクが高まっています。

■自動車の保有台数の増加

出典:自検協HPデータより作成

集中豪雨の増加によるマンホール蓋の飛散

集中豪雨が各地で多発し今後も増加傾向にあり、マンホール内の圧力が急激に上昇し、マンホール蓋や枠ごとの飛散を引き起こすリスクが高まっています。

■集中豪雨発生回数の推移と豪雨により飛散するマンホール蓋

出典:気象庁HP統計データより作成

高齢化、自転車利用の増加におけるスリップ

高齢化社会の進行や、健康意識の高まり等による自転車の保有台数増加により、歩道でのマンホール蓋上で高齢者や自転車がスリップする危険性も高まっています。

■高齢者、自転車保有台数の増加によるスリップリスクの高まり

※総務省統計局HPデータより作成

.

※国土交通省「第1回自転車の活用推進に向けた有識者会議」資料より作成

.

.

マンホール蓋の老朽化

下水道施設は今後急速に老朽化することが懸念されています。マンホール蓋の標準耐用年数は下水道管路施設の中でも短く、今後10年間で設置後30年以上経過して老朽化するマンホール蓋の割合は加速度的に多くなり、がたつき、スリップ、蓋飛散、開閉不能といった様々なリスクが高まっています。

■設置後30年以上経過するマンホール蓋の数とマンホールの標準耐用年数

≪設置後30年以上経過するマンホール蓋の推定方法≫
2030年までの管路延長距離を51万kmと推測し、マンホール蓋の数量(51万km÷マンホール間距離30m)を1,700万基と推測。うち、2030年時点で設置後30年経過したマンホール蓋数1,100万基※1から、2030年までに取替えられているマンホール蓋数を475万基と推測し、老朽化したマンホール蓋数を625万基(1,100万基ー475万基)と推定。
※1:令和元年度下水道白書 日本の下水道資料編より

環境変化に伴うマンホール蓋のリスク増大

環境変化に伴い、マンホール蓋のリスクも増大しており、マンホール蓋が起因となる事故も数多く発生しています。

■環境変化に伴い増大するマンホール蓋のリスク

マンホール蓋に関する事故

日本下水道協会が運営する下水道賠償責任保険※1での2001年~2019年における保険支払件数の内、施設別ではマンホールが最も多く、内訳ではその殆どがマンホール蓋が原因の事故とされています。

■下水道施設に関連する事故の施設別内訳

※1 地方公共団体が管理する下水道施設において、設置又は管理の瑕疵により生じた偶発的な事故のために他人の生命もしくは身体を害し又は財物及び被害を与えた事により、地方公共団体が法律上(国家賠償法、民法等)の損害賠償責任を負うことによって被る損害賠償金等の損失を保険金として、日本下水道協会に支払う制度。(日本下水道協会HPより)