設置基準の必要性の高まり

環境の変化に伴うマンホール蓋を取り巻くリスクの増大に対して、2018年にマンホール蓋に関するJIS規格が改正されました。この中で、マンホール蓋の使い分けや、設置要領について記載されています。 また、2019年に改定された下水道施設計画・設計指針と解説((公社)日本下水道協会)においても、設置環境に応じた要求性能を満たすマンホール蓋へ改築する必要性が記載されています。

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マンホール蓋の設置基準に関する技術マニュアル

設置環境に適応した性能を持つマンホール蓋の具体的な使い分け(設置基準)と、効率的なストックマネジメントの実施に向けた管理すべき情報項目を取りまとめたものとして、2020年7月に「効率的なストックマネジメント実施に向けた下水道用マンホール蓋の設置基準等に関する技術マニュアル」が発刊されました。 本技術マニュアルは、当協会と(公財)日本下水道新技術機構、コンサルタント3社との共同研究において実施された自治体アンケート、事業体ヒアリング、現地調査、検証試験の結果がもとになっています。

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設置基準に関する技術マニュアルの概要

「効率的なストックマネジメント実施に向けた下水道用マンホール蓋の設置基準等に関する技術マニュアル」では、リスク環境※1における事故の発生頻度と被害の大きさをリスク環境レベル※2として区分し、そのレベルに応じて求められる性能基準を定め、その性能を有したマンホール蓋を設置する必要性を述べています。次世代型高品位グラウンドマンホールは、高度な安全性能に加え、様々なバリエーションにより、設置基準に応じて求められる性能を満足しています。

「効率的なストックマネジメント実施に向けた下水道用マンホール蓋の設置基準等に関する技術マニュアル」には、以下のような主要なリスク環境と区分が記載されています

※1 マンホール蓋が設置される箇所のうち、マンホール蓋に起因する事故等の事象が想定される箇所。

※2 事故の発生頻度や被害の大きさをレベル分けしたもの。リスク環境レベルⅠが最もリスクが高く、対策への優先度が高い。

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耐スリップ性(車道)

車道においては、交差点や坂道、カーブといった二輪車の制動及び加速、旋回時の横滑りによるスリップに配慮し、環境レベルを設定しています。

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耐スリップ性(歩道)

歩行者の雨天時における歩行や、方向転換時の滑りによる転倒、晴天時のマンホール蓋との引っ掛かりによるつまずき等を考慮したリスク環境レベルを設定しています。

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内圧安全性

下水道管内の内圧により、マンホール蓋が飛散したり外れたりした場合、歩行者の転落や車両、建物の破損の原因となることから、マンホール蓋の外れや飛散が発生しやすい環境ごとにリスク環境を区分しています。

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防食性

腐食環境下におけるマンホール蓋は、腐食により部品の脱落やマンホール蓋が開閉できないといった性能への影響が懸念されるため、防食性が必要なリスク環境レベルを区分しています。